
福岡 | 久留米絣
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伝統的な手仕事は「日本の美」として世界に誇れる、なくしてはならないものと私たちは日々感じています。HANAO SHOSE JAPAN は織物・染物の伝統が多くの人の目に触れ、見る人それぞれがゆかりある地場の手仕事に興味を持つ機会となるプロジェクトです。ここでは47都道府県全ての織物・染物をご紹介します。
福岡|久留米絣 ―初の原稿料、太宰が選んだ久留米絣―
「久留米絣(くるめがすり)」は、井上伝という当時12歳の少女によって生み出された、福岡県久留米市発祥の織物です。
かつては各家庭で手織りされており、実用性重視の普段着だけに無地が一般的でした。しかし、少女が白いまだらになった古着をほどいたことから着想を経て、偶然絣の柄を出す方法を生み出し、柄の幅がどんどん広がっていきました。
藍色の生地に真っ白な柄模様が美しく映える久留米絣。先に糸を染めてから織ることによって、微妙なズレが生じ、独特なかすれ模様が浮かび上がります。
糸を染める工程と織る工程は、とても手間のかかる作業です。なかでも、織る際に経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の柄を合わせる工程は非常に難しく、職人の高い技術が必要です。

久留米絣は、太宰治が初めての原稿料で購入したとも言われています。夏は通気性がよく冬は熱が放出されにくい素材の綿織物で、使い勝手の良さと丈夫さから、季節問わず仕事着に最適です。
備後絣(びんごがすり)、伊予絣と並び日本三大絣の一つと呼ばれる久留米絣。複雑で繊細な柄と素朴な藍色は、使い続ければ使い続けるほど美しくなると言われており、長く愛用される木綿絣です。
久留米絣をつくられている「下川織物」さんのインタビュー記事はこちらから。
