夏次郎商店とこぎん刺し | 03

夏次郎商店とこぎん刺し | 03

青森の民芸、その代表格「こぎんし刺し」を知っていますか。

僕はそんなに知りませんでした。

最近の「こぎん刺し」は、洒落ててかわいい。

その“最近”の流れをつくった第一人者・夏次郎商店さんと

WLK の HANAO SHOES がコラボする

ということで、せっかくの機会なので青森まで行ってきました。

夏次郎のこぎん刺し鼻緒を HANAO SHOES にすげる企画。

会場は、弘前市(ひろさきし)のギャラリー CASAICO。

寒かったけど、行った甲斐がありました。

こぎん刺し作家・夏次郎さん(写真NG)と

お話した記録をここに公開します。

弘前のこと、こぎん刺しのこと、青森の伝統産業のこと など。

 


 

夏次郎商店とこぎん刺し | 01

「こぎん刺し」を家庭の時間に習う、青森

基礎知識「こぎん刺し」のルーツ。

「こんなのこぎん刺しじゃない」と言われた時代。


夏次郎商店とこぎん刺し | 02

結局、刺繍なんて、誰でもできる。

専門職が分業で作るから、付加価値がつけられる。

鼻緒・夏次郎の理由。


夏次郎商店とこぎん刺し | 03

知らなかった、HAMAO SHOES。

工芸だと思わないで、ただ手段が工芸だっただけ。

夏次郎さんとのお話会を終えて

 


 

知らなかった、HAMAO SHOES。

 

 

酒井:
HANAO SHOESのこと知らなかったでしょ?

 

夏次郎さん:
知らなかったです。でもHANAO SHOESではなくて、鼻緒のキャップを売ってるのを見たことがあって。

 

酒井:
!なんで!笑
それもう売ってないな~。

 

夏次郎さん:
鼻緒は足だけのものと思ってたので、そんなところにも付けられるだと、凄い印象に残ってます。
それで、私も他にできないかなと思って、職人さん達とiPadぐらいの大きさのカバンに鼻緒つけて、
手で剥いて持てるもの作ったんですけど。
なかなか素晴らしい影響を受けました。
まさか帽子につけるとは。

 

酒井:
ちなみにiPhoneケース裏に子供用鼻緒付けたらすごく持ちやすいんです。
妙なとこにつけてみると、意外な発見あります。
僕らも京都で、当初あんないい加減な物を作ったら、何を言われるか分からんと思って怖かったんですよ。

 

夏次郎さん:
そうなんですか、そんなことあります?

 

酒井:
やっぱり京都ですから。
様々な工芸の本流が、みんないる街じゃないですか。

 

夏次郎さん:
インパクト大な分、怖いということですね。

 

酒井:
現在は足が悪くなって草履履きたいけど履けないみたいな、お茶の先生などにも支持いただいてます。

 

夏次郎さん:
お着物にも合いますよね、インスタで拝見しましたけど。
靴なのに鼻緒が出てて、着物からチラッと見える。いいなと思って。
年代問わずいろんな人が買ってるから、すごい。

 


 

工芸だと思わないで、ただ手段が工芸だっただけ。

 

 

酒井:
そういえば、下駄のボディ(本体)の部分を津軽塗の職人さんとコラボしてる話をするのを忘れてましたね。

 

夏次郎さん:
下駄本体はずっと大分県の日田市にある工房さんに作ってもらっています。
今年からまた新しく半分八角形、半分丸のドッキングしたような新しい形の。 「ナーモケネ」って名前です。

 

酒井:
えっと、なにもけで?

 

夏次郎さん:
「ナーモケネ」です。
伸ばします。
津軽弁で『ザッツオーライ』みたいな。
鼻緒専用の布も「イデヴァ」も、『いいじゃん』っていう軽い褒め言葉、祖母の口癖です。
なので布も下駄もオリジナルです。
半分だけ津軽塗の下駄も私だけだと思う。
なんかぶった切りのデザインが好きなんですよ、突然変わってるのが好きで。

 

酒井:
夏次郎さんのにとっての、伝統工芸・文化、産業ってどういう存在なんですか?

 

夏次郎さん:
工芸の発展であったり「こぎん刺し」の普及であったりは私は関係がなくて、楽しいからやってるのが第一だし。
こういうの履きたいとか、こういう下駄欲しいとか、自分の欲求がまずあります。
楽しくないと続けていけないので。
一番最初に鼻緒をつくった時のノベルティーが、あの手ぬぐいなんですけど……

 

 

酒井:
けっこうかっこいいです。

 

夏次郎さん:
私コモドドラゴン好きで、描いてもらったんですけど、
コモドドラゴンが降ってくる伝統的なモノ食べて。

 

酒井:
そういう意味があったんですか。

 

夏次郎さん:
夏次郎商店の中でぐじゃぐじゃに粉々になってるんですけど、
ちょっと言葉悪いですけど食い物にしつつ、夏次郎商店も粉々に、
お腹の中でいっしょくたになって生まれたのが夏次郎の鼻緒っていう。
昔から使われてるとか、次世代に繋げるとかあんまり考えてないですね。
私が楽しいと思うものを同じように楽しんでくださいってだけの展示なので。
工芸だと思わないで、ただ手段が工芸だっただけ。

 

酒井:
ものすごいこだわってますけどね。
だけ、とか言いながら。笑

 

夏次郎さん:
こぎん刺しにこだわりつつ、やっぱ青森好きなんで。
ちょっと高くなりますね。
それでもいいっていう方に履いていただけたら。
今年の展示は、さらに+スニーカーなので、盛り沢山。
これってこのスニーカー、白こだわりなんですか?

 

酒井:
国産のスニーカーっていうのはこだわりです。
ていうか、鼻緒を付け替えできるHANAO SHOES、以前BEAMSさんが一緒に作ってくれたんです。
映画の寅さんのグッズとしてBEAMSが企画した。
夏次郎さんの鼻緒も付け替えできたらいいですよね。

 

夏次郎さん:
確かに。
私の「夏次郎」は『寅次郎』から来てるんですよ。
寅さん大好きなので。

 

酒井:
ほんと? じゃあすごいね。
HANAO SHOESで外国行ったらめっちゃ話しかけられますよ。

 

夏次郎さん:
だと思います。
最初、鼻緒とキャンバス地を合わせた時、良くてびっくりしました。
刺繍ってちょっとゴテゴテするから、一瞬心配したんですけどそんなことないなと思って。

 

酒井:
この先、新しく考えてることありますか?

 

夏次郎さん:
この先は布の色数を増やしたいのと、後は何だろうな。
新しい布1年目なので、まだ全然慣れてないので布に馴染むっていう。
最近インスタで外国の方に話しかけられることが多くて、サイズ展開を増やさないとなと思っています。
あと子供下駄、かわいいですよね。
みんな、すぐ大きくなるからいらないって言われるんですけど。

 

酒井:
子ども靴はね、サイズアウトが早すぎる。
親は子どもの靴にお金かけてられない。
仕方ない。

 

夏次郎さん:
でも小さい鼻緒、こんなにかわいいんだから、鼻緒の帽子じゃないですけど、
もうちょっと鼻緒を他のことに使えたらいいのになあとね。

 

酒井:
僕も考えよう、夏次郎と一緒に作る製品。

 

酒井:
はい、こんなところでいいかな。
いいよね。インタビュー。

 

夏次郎さん:
私もそんなに有意義なお話できなく。

 

酒井:
めっちゃ有意義なお話でしたよ。

 

夏次郎さん:
そう言っていただけると。
取材の度、いつも首を傾げられて。

 

酒井:
笑 大体インタビュアーって、何もわかってないなーって思うことばっかりですよ。
ときどきはこの人めっちゃわかってる!って人がいて、その時は楽しいです。

 

 


 

夏次郎さんとのお話会を終えて

 

肝心の「こぎん刺し」の何がそんなに気に入って、仕事にしてるのか を聞き忘れたなと思います。

人は作ることが好き。作り出して残すことが好き。

海に行って、海岸に穴を掘ったり、山やお城を作ったりするのが好き。

だから、「こぎん刺し」という、お手軽な刺繍工芸にハマる人たちの気持ちは、 誰でもなんとなく分かるんじゃないかと思う。

無心で手を動かして、気がついたら模様ができてる時は嬉しいに違いない。

でも、別に「こぎん刺し」でなくてもいいわけで、編み物、塗り物、木工でもいいわけで。

どうして夏次郎さんは「こぎん」だったのか、

何に魅力を感じている(と本人は思う)のか、もっと聞いとけば良かったナ。

次会ったら聞こう。

 

 

酒井洋輔

 


 

夏次郎商店 Instagram:

@kogin_natsujirou

 

 

ギャラリーCASAICO Instagram:

@casai

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