08 舞妓さんになりたい ②

08 舞妓さんになりたい ②

仕込みさんの10ヶ月

 舞妓さんになるまでの修行期間は、約10ヶ月。その期間は「仕込みさん」と呼ばれ、舞妓の卵として正座、京ことば、稽古、お行儀の全てを仕込まれます。中学3年生の三学期ぐらいから住み込みを始める子もいれば、私のように卒業式の翌日から入門する子もいれば、もう最後の一年は花街の近所の中学に転入して学校にいきながら仕込みさんをする子もいれば、とまちまちですが、1日でも早く入った子の方が先輩というきまりはたとえ同期でも辞める日まで守られます。
 私のときの同期は11人。入った時期や住み込みの置屋さん(お茶屋さん)は違えど、戦友という独特な距離感で稽古場で会えば慰め合い、競争し合い、その後の花街生活で唯一本名で呼び合う仲間となります。結果舞妓さんになったのは6人で、そのうち2人はデビューしてすぐに辞めてしまったので、まあまあ厳しい毎日だったということでしょうか。相当大変だったのか、デビュー後の生活が強烈だったのかこの頃のことはほとんど覚えていません。辛かったような、でも楽しかったような? 憧れの舞妓さんと六畳の小さなお部屋で一緒に暮らしているという幸せの方が強かったような気がします。

舞妓のお試験

 さて、10ヶ月の仕込み期間の終盤になると待ち受けているのが舞妓の「お試験」です。偉い人たちの前で踊りを2曲踊って、合格すればその場で見習い始め(プレデビュー)の日が決まるというもの。まずお試験の日程が決まる頃に、名前をいただくことになるお世話係の芸妓のお姉さんが女将さんの判断によって決まり、昔の結婚の段取りと同じようにお目見え、結納、お盃、と物事が進んでいきます。結婚というよりなんだか任侠ぽい雰囲気はありますが、姉妹の契りを交わすお姉さんとは一生のおつきあいになります。
 仕込みさんの間はお化粧禁止なのですが、お試験の日は薄化粧がルール。お化粧も、いつもは自分でするひっつめお団子のヘアセットも、着付けも、その日だけは一緒に住む舞妓のお姉さんが全部してくれて、送り出してくれたことが私にとってなによりの思い出です。
 そんなこんなであれよあれよと言う間に舞妓さんになりました。稽古場ですれ違う同期とこっそりするお手紙交換とか、お風呂屋さんでの一人の時間とか、そんなことに勇気づけられる日々だったなあ。
 

仕込みさんのスケジュール

 <参考>
仕込みさんの1日はこんな感じ

1.起床
2.前日の姉さんの衣装をたたむ
3.洗濯、掃除、お使い
4.昼食
5.稽古
6.お座敷に行く姉さんの着付けの紐持ち(お手伝い)
8.夕食、女将さんとお相撲か阪神戦を永遠みる
9.お風呂屋さんに行く
10.着物に着替えてお座敷のお手伝い
11.帰ってきた姉さんの着物を片す
12.就寝

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