「いざみにごんせ東山」
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京都の方角
京都ビギナーが困ること。一番は上がる、下がる、とか西、東みたいなことじゃないでしょうか。私もこれとっても苦手で、東西南北で説明されるとつい「この人たち鳥かなんか?」みたいにしょっちゅうため息をついていました。
と、そんなことをある日お茶屋さんのお母さん(76歳、女将)にこぼすと
「あんた、東山がある方が東やんかいな」
と一言。京都の人たちは謎にこの東山という山が好きです。鴨川の水が流れていくところを上流から見た時左側にあるのがその山で、南北12キロにもわたって壁のように存在しています。だから、京都中どこにいっても東には東山がある。ということなんだけど、北にも山はあるし、西にも山はあるし……! 「東山」を見分けられるようになるにはまだまだ時間がかかりそう。山を見ればこっそり東山チャレンジなどしながら修行中です。古い人たちはきっとたくさんの山の画像の中からでも東山を容易に見つけるはず。
どれぐらい昔からこの山が慕われているかというと、ふるーい端唄なんかにも出てくるぐらいで、「月は朧に東山 霞むよごとのかがり火に」とか「春は花 いざみにごんせ 東山」とか、これはお座敷で舞妓さんがよく踊る十八番ですがこんなふうにセンチメンタルな心象風景をうたうときにも何かにつけて登場します。
京都の仲間入り
東西南北が少しずつ体に馴染んで来ると京都という街の仲間入りができたような気持ちにもなるので、ビギナーの皆さんも「鳥なの?」と意地を張らずにぜひ積極的に日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。ちなみに私的東山のおすすめスポットは修学院離宮です。舞妓時代、あまりにも京都の名所を知らないのね、と見かねたお客様に連れていただいた修学院離宮(東京ドーム12個分)が東山にあると知った時はこの山の大きさに愕然としたことを覚えています。
それはそうと「いざみにごんせ」という言葉はなかなかかっこいいですよね。



