December 2024, Shiwasu Katame (In-depth)
NUKADOKO
もう3年くらいになると思う、ぬか床をやり始めて。3年なんてまだまだビギナーですが家にぬか床があります。大きさはバケツくらいでホーロー製のPotの中で彼らは生きています。これの1番肝心なことは、毎日掻き混ぜないと死んでしまうということです。3年間、毎日となると、それはなかなかにたいへんです。いつも頭の中の1㎠にはぬか床がある感じです。
混ぜないと死ぬと書きましたが、正確には「人にとって有益な=おいしく調理してくれる菌(乳酸菌とか)がいなくなって、人が食べたらお腹を壊す菌(青カビとか)ばかりになってしまう」ということです。だから死ぬと言うよりも、バランスが崩れる感じです。つまり、ぬか床は菌の棲み家になっていて、色んな菌がそれぞれバランスをとって生きているということになります。顕微鏡とかで見たことはないため実感は弱く、よく分からないけどとにかく混ぜているのが現実です。しかし確かに2日忘れているとかなりマズそうな雰囲気になります。
家にぬか床Potがあることで、おいしいぬか漬けがいつでも食べられるのはとてもいいことです。昔の家にはそれぞれのぬか床があって、それぞれのぬか漬けがあったのだと思います。家によって菌が違うし、主人(かき混ぜる人)が持ってる菌も違うので、それぞれ個性的な味のぬか漬けが生まれていたはずです。現代は、それをしている家は少なく、もったいないと思います。週一で給食の時間にぬか漬けの交換とか楽しいだろうにな。
「それぞれのぬか床」、出そうとしていないのに個性が出るって、素晴らしい体験ではないでしょうか。また余った野菜を入れておく場所があるという点も良いです。野菜を腐らせて捨てる罪悪感から逃れられます。
余談ですが、僕は余った野菜を入れて、収穫して、それをWLKのスタッフに売りつけています。きゅうり1本100円という具合です。彼女の家業が居酒屋なので、そこでは300円くらいのつまみになって、誰かの口に入ります。
そして、ファンタジーのように聞こえるかもしれませんが、家の中に自然を飼っている感覚があります。Potの中では僕たちの目には見えないだけで、たくさんの菌が日々活動しています。この先、自然と人との共生がもっとずっとテーマになるはずです。小さな自然が家にあること、その恩恵を日々感じることで、自分の自然への態度が改まってくるのです。
2024.12 Yosuke Sakai