青森 | こぎん刺し
伝統的な手仕事は「日本の美」として世界に誇れる、なくしてはならないものと私たちは日々感じています。HANAO SHOSE JAPAN は織物・染物の伝統が多くの人の目に触れ、見る人それぞれがゆかりある地場の手仕事に興味を持つ機会となるプロジェクトです。ここでは47都道府県全ての織物・染物をご紹介します。
青森 | こぎん刺し ―寒さが生んだ幾何学模様―
寒冷地の青森では綿の栽培が難しく高級品のため、農民は麻の生地を着るしかありませんでした。薄い麻の生地に保温性と強度を高めるため、布目に木綿の糸を通して埋めたことが「こぎん刺し」の始まりです。
こぎん刺しの模様である「幾何学模様(きかがくもよう)」は300年も変わらず受け継がれています。専門の職人さんがいるわけではなく、農家のお母さんが子供に教えて受け継がれてきたものです。
こぎんは、三つの種類に分類されます。
・苧麻(からむし)の細い糸で織った布に刺された「西こぎん」。荷物を背負う仕事が多く肩の布が擦り切れてしまうため、修繕しやすいように 肩部分の柄を単純にしています。
・太めの粗い麻糸で織った布に刺した「東こぎん」。前身頃から後ろ身頃にかけて同じ模様を施したものが多く、緻密な柄とは正反対の大きな柄に仕上がっています。
・鮮やかな三つの横縞の入った「三縞こぎん」。生産されていた地域は生活に余裕がなく、生産も少ない。生産された場合は雑巾になるまで使用されていたため、綺麗な状態で現存するものは非常に少ないです。